本気で人を噛む犬への対応として、歯を削る手術という選択肢があります。歯の尖った部分を削ることで噛まれた際の被害を軽減させることが期待できますが、そういった手術に反対する意見もあります。この記事では、犬の歯を削る手術について、様々なケースを見てきたドッグトレーナーが見解を述べます。
歯を削る手術をしても犬は噛むことを止めない
明言しておきたいのが、
「歯を削る手術をしても犬は噛むことを止めない」
です。
手術はあくまで物理的に歯を削る処置です。
犬の行動面・学習面へのアプローチではありません。
手術の後も、犬はそれまでの生活の中で習慣化した
《人を噛む》
という行動を続けます。
「歯を削る手術をしても犬は噛むことを止めない」
です。
手術はあくまで物理的に歯を削る処置です。
犬の行動面・学習面へのアプローチではありません。
手術の後も、犬はそれまでの生活の中で習慣化した
《人を噛む》
という行動を続けます。
噛む犬の歯を削る手術のメリット
手術に噛みつき行動を抑制する直接的な効果はありませんが、人を噛む犬の歯を削ることで、以下のようなメリットが期待できます。
噛まれた時の大きな怪我の予防
犬に本気で噛まれた際の一番の問題は、深刻な怪我につながることです。
ゴールデンレトリバーやシェパードといった大型犬はもちろん、柴犬やコーギーといった中型犬クラスの大きさの犬種でも、本気で噛めば人に大きな怪我を負わせてしまいます。
歯の尖った部分、特に犬歯を削って短く丸くすることで、犬に噛まれた際の怪我の程度を軽減させる・予防する効果が期待できます。
ゴールデンレトリバーやシェパードといった大型犬はもちろん、柴犬やコーギーといった中型犬クラスの大きさの犬種でも、本気で噛めば人に大きな怪我を負わせてしまいます。
歯の尖った部分、特に犬歯を削って短く丸くすることで、犬に噛まれた際の怪我の程度を軽減させる・予防する効果が期待できます。
飼い主の恐怖・不安の軽減
犬に本気で噛まれることは、怪我や痛みといった身体的なダメージだけでなく、
「また噛まれたらどうしよう…」
「犬のことを見るのも嫌」
「もう、痛い思いをしたくない」
といった恐怖や不安を飼い主に植え付けます。
歯を削る手術で大きな怪我を予防することで、飼い主が犬に対して抱いている恐怖や不安を軽減させる効果が期待できます。
上述のように、手術に噛みつき行動を抑制する直接的な効果はありませんから、今まで人を噛んでいた場面において、犬は同じように飼い主を噛みます。
噛まれて初めて、飼い主は
「噛まれても大きなケガにはならない」
「噛まれても今までほどは痛くない」
といった、手術の効果を実感します。
このような体験を通して、手術前に犬に対して抱いていた恐怖や不安が軽減されます。
恐怖や不安が軽減されると、犬と対峙した際の飼い主の心にゆとりが生まれます。
◎リードを着ける
◎身体に触れる
といった場面において、びくびくすることが減り、自然な動作で接することが出来るようになります。
以前は犬が噛んできた時に慌てて手を引っ込めていたのが、噛まれても手を引かなくなる、というように、噛まれた際の飼い主の対応に変化を生むことが出来ます。
(皮手袋を着ける、といった事前の防御策は取った方が良い)
「また噛まれたらどうしよう…」
「犬のことを見るのも嫌」
「もう、痛い思いをしたくない」
といった恐怖や不安を飼い主に植え付けます。
歯を削る手術で大きな怪我を予防することで、飼い主が犬に対して抱いている恐怖や不安を軽減させる効果が期待できます。
上述のように、手術に噛みつき行動を抑制する直接的な効果はありませんから、今まで人を噛んでいた場面において、犬は同じように飼い主を噛みます。
噛まれて初めて、飼い主は
「噛まれても大きなケガにはならない」
「噛まれても今までほどは痛くない」
といった、手術の効果を実感します。
このような体験を通して、手術前に犬に対して抱いていた恐怖や不安が軽減されます。
恐怖や不安が軽減されると、犬と対峙した際の飼い主の心にゆとりが生まれます。
◎リードを着ける
◎身体に触れる
といった場面において、びくびくすることが減り、自然な動作で接することが出来るようになります。
以前は犬が噛んできた時に慌てて手を引っ込めていたのが、噛まれても手を引かなくなる、というように、噛まれた際の飼い主の対応に変化を生むことが出来ます。
(皮手袋を着ける、といった事前の防御策は取った方が良い)
犬が「噛んでも無駄」を学習する
犬の本気で噛みつく行動が習慣化する一番の要因は
【噛みつけば嫌なことが無くなる】
という学習の積み重ねです。
の構図が繰り返されることで、
「噛みつくと飼い主(人)は嫌なことを止める」
と学習し、嫌なことを止めさせる・遠ざけるための手段として、嚙みつき行動が習慣化されます。
犬の歯を削る手術によって飼い主の恐怖や不安が軽減することで、
というように飼い主の対応が変化することで
「噛んでも嫌なことは止めさせられない(噛んでも無駄)」
と犬が学習し、
☆噛みつき行動の発現確率の低下
☆噛むのを止めるまでの時間の短縮
といった行動の変化に結びつける効果が期待できます。
【噛みつけば嫌なことが無くなる】
という学習の積み重ねです。
飼い主が嫌な事をする(しようとする)
(爪切り・首周りを触る、等)
↓
噛みつく
↓
飼い主が嫌なことをしなくなる
(手を引っ込める)
の構図が繰り返されることで、
「噛みつくと飼い主(人)は嫌なことを止める」
と学習し、嫌なことを止めさせる・遠ざけるための手段として、嚙みつき行動が習慣化されます。
犬の歯を削る手術によって飼い主の恐怖や不安が軽減することで、
飼い主が嫌な事をする(しようとする)
(爪切り・首周りを触る、等)
↓
噛みつく
↓
飼い主が嫌なことを止めない
(手を引っ込めない
というように飼い主の対応が変化することで
「噛んでも嫌なことは止めさせられない(噛んでも無駄)」
と犬が学習し、
☆噛みつき行動の発現確率の低下
☆噛むのを止めるまでの時間の短縮
といった行動の変化に結びつける効果が期待できます。
噛む犬の歯を削る手術に反対する・断られる理由
本気で噛む犬の歯を削る手術に対しては、反対意見・否定的な意見も多くあります。
愛犬の噛みつきで悩む飼い主が動物病院に相談しても
「当院では歯を削る手術は行わない」
と断られた、という話もよく耳にします。
歯を削る手術に反対する、手術を断られる理由としては、以下のようなことがあります。
愛犬の噛みつきで悩む飼い主が動物病院に相談しても
「当院では歯を削る手術は行わない」
と断られた、という話もよく耳にします。
歯を削る手術に反対する、手術を断られる理由としては、以下のようなことがあります。
犬の噛みつきはしつけで改善するべき
歯を削る手術に対する反対意見や断られる理由として
「犬の噛みつきはしつけで改善するべき」
という考えがあります。
しつけに真摯に取り組むことをせずに、歯を削る手術を安易に頼ることは、飼い主の責任を果たしていない、と言われてしまうこともあるようです。
確かに、
《犬の問題行動はしつけに真剣に取り組んで改善するべき》
は正論です。
しかし、
【歯を削る手術を希望する=しつけの努力の放棄】
と決めつけることは出来ないと思います。
本気で噛む犬の飼い主の多くは、
◎自分なりにしつけに取り組む
◎しつけ教室に通う
◎トレーナーに依頼する
と、出来るだけのことをやったうえで、それでも犬の噛みつきが無くならずに、困り果てています。
困り果てた末に相談した動物病院で、
「飼い主の責任を果たしていない」
「もっと真剣にしつけに取り組むべき」
といったことを言われてしまうと、無力感や絶望感に襲われてしまいます。
恐怖・不安を抱いたままでは、本気で噛みつく犬に向き合うことは困難です。
恐怖・不安はしつけに継続的に取り組むための障壁になります。
歯を削る手術は、
「噛まれても大きなケガにはならない」
という安心を飼い主にもたらし、恐怖・不安を軽減させる効果が期待できます。
飼い主がしつけに継続的かつ前向きに取り組む助けになります。
「犬の噛みつきはしつけで改善するべき」
という考えがあります。
しつけに真摯に取り組むことをせずに、歯を削る手術を安易に頼ることは、飼い主の責任を果たしていない、と言われてしまうこともあるようです。
確かに、
《犬の問題行動はしつけに真剣に取り組んで改善するべき》
は正論です。
しかし、
【歯を削る手術を希望する=しつけの努力の放棄】
と決めつけることは出来ないと思います。
本気で噛む犬の飼い主の多くは、
◎自分なりにしつけに取り組む
◎しつけ教室に通う
◎トレーナーに依頼する
と、出来るだけのことをやったうえで、それでも犬の噛みつきが無くならずに、困り果てています。
困り果てた末に相談した動物病院で、
「飼い主の責任を果たしていない」
「もっと真剣にしつけに取り組むべき」
といったことを言われてしまうと、無力感や絶望感に襲われてしまいます。
恐怖・不安を抱いたままでは、本気で噛みつく犬に向き合うことは困難です。
恐怖・不安はしつけに継続的に取り組むための障壁になります。
歯を削る手術は、
「噛まれても大きなケガにはならない」
という安心を飼い主にもたらし、恐怖・不安を軽減させる効果が期待できます。
飼い主がしつけに継続的かつ前向きに取り組む助けになります。
歯を削ることは動物の福祉に反する
《歯を削る手術は動物(犬)の福祉に反する》
という理由から、動物病院で手術を断られることもあります。
確かに、本気で噛みつくとはいえ、健康な犬の歯を削る手術は、医学的な面から考えると不必要なことです。
医学的に不必要な手術を行って身体の一部を取り除くことは、動物(犬)の福祉に反する行為であるというのも、正論だと思います。
一方でこの考えには、
【飼い主の福祉】
に対する配慮が決定的に欠けているとも感じます。
本気で噛みつく犬と暮らすことは、
「いつ噛まれるか分からない」
「また痛い思いをするかもしれない」
といった恐怖や不安に常にさらされ続ける日々です。
これらは、飼い主の生活の質(Quality Of Life=QOL)を著しく低下させます。
中には、鬱状態に陥ってしまう飼い主もいます。
悩んだ末に動物病院に栄派を削る手術について相談した結果
「犬の福祉に反する」
という理由で断られることも、飼い主に絶望感や無力感を与えます。
こういった飼い主の身体的・精神的負担の大きさは、経験したことの無い人や、目の当たりにしたことの無い人には想像することが難しいかもしれません。
という理由から、動物病院で手術を断られることもあります。
確かに、本気で噛みつくとはいえ、健康な犬の歯を削る手術は、医学的な面から考えると不必要なことです。
医学的に不必要な手術を行って身体の一部を取り除くことは、動物(犬)の福祉に反する行為であるというのも、正論だと思います。
一方でこの考えには、
【飼い主の福祉】
に対する配慮が決定的に欠けているとも感じます。
本気で噛みつく犬と暮らすことは、
「いつ噛まれるか分からない」
「また痛い思いをするかもしれない」
といった恐怖や不安に常にさらされ続ける日々です。
これらは、飼い主の生活の質(Quality Of Life=QOL)を著しく低下させます。
中には、鬱状態に陥ってしまう飼い主もいます。
悩んだ末に動物病院に栄派を削る手術について相談した結果
「犬の福祉に反する」
という理由で断られることも、飼い主に絶望感や無力感を与えます。
こういった飼い主の身体的・精神的負担の大きさは、経験したことの無い人や、目の当たりにしたことの無い人には想像することが難しいかもしれません。
「愛情を注げば思いは通じる」は迷信
「もっと愛情を注げば噛みつきは改善するはず」
という反対意見もあります。
歯を削る手術を行おうとする飼い主に対して
「愛情が足りない」
と批判する声も見受けられます。
これも一見、正論に感じられます。
しかし、「愛」を強調する正論は、愛犬への愛情と恐怖・不安の間で葛藤する飼い主への共感に欠いている、といえます。
犬や人も含めて、行動を変容させるのは
の図式における「結果」の部分の操作です。
愛情の深さや大小は、関係ありません。
「愛情を注げば犬に飼い主の思いは伝わる」
は、裏づけの無い迷信、あるいは感情論に過ぎません。
という反対意見もあります。
歯を削る手術を行おうとする飼い主に対して
「愛情が足りない」
と批判する声も見受けられます。
これも一見、正論に感じられます。
しかし、「愛」を強調する正論は、愛犬への愛情と恐怖・不安の間で葛藤する飼い主への共感に欠いている、といえます。
犬や人も含めて、行動を変容させるのは
先行刺激
↓
行動
↓
結果
の図式における「結果」の部分の操作です。
愛情の深さや大小は、関係ありません。
「愛情を注げば犬に飼い主の思いは伝わる」
は、裏づけの無い迷信、あるいは感情論に過ぎません。
歯を削る手術はしつけのゴールではなくスタート
歯を削る手術をすれば、噛みつき問題を放置して良いわけではありません。
噛みつきによる大きな怪我を予防できることで、飼い主が犬と向き合う際の恐怖・不安を軽減し、落ち着いた気持で接することにつながります。
落ち着いた気持で向き合うことが可能になることで、
◎どのような場面において噛みつくか
◎生活環境
◎生活習慣
等について、じっくりと振り返ったり、考え直したり、といったことができるようになります。
◇散歩の時間を増やす
◇散歩以外のエクササイズ(遊び)に取り組む
◇触れ合う時間を増やす
といったことができるようになると、
☆運動欲求が満たされる
☆ストレス発散
と、犬の身体的・精神的な安定につながることが期待できます。
「一緒に過ごしていて楽しい、幸せ」
を飼い主が実感することにもつながります。
犬の歯を削る手術を行うことはゴールではなく、犬と前向きに向き合う日々のスタート地点に立つことだといえます。
噛みつきによる大きな怪我を予防できることで、飼い主が犬と向き合う際の恐怖・不安を軽減し、落ち着いた気持で接することにつながります。
落ち着いた気持で向き合うことが可能になることで、
◎どのような場面において噛みつくか
◎生活環境
◎生活習慣
等について、じっくりと振り返ったり、考え直したり、といったことができるようになります。
◇散歩の時間を増やす
◇散歩以外のエクササイズ(遊び)に取り組む
◇触れ合う時間を増やす
といったことができるようになると、
☆運動欲求が満たされる
☆ストレス発散
と、犬の身体的・精神的な安定につながることが期待できます。
「一緒に過ごしていて楽しい、幸せ」
を飼い主が実感することにもつながります。
犬の歯を削る手術を行うことはゴールではなく、犬と前向きに向き合う日々のスタート地点に立つことだといえます。
まとめ

本気で噛みつく犬の歯を削る手術に対しては、賛否両論があります。
ポジティブな効果としては
◎大きな怪我の予防
◎飼い主の恐怖や不安の軽減
◎犬と安心して向き合うことが出来る
◎前向きにしつけに取り組めるようになる
といったものがあります。
反対・否定する理由としては
◉しつけに真剣に取り組まなくなる
(飼い主としての責任の放棄)
◉問題の根本的な解決にはならない
◉動物(犬)の福祉に反する
◉愛情が不足している
といったものがあります。
私は本気で噛みつく犬と暮らす飼い主の恐怖・不安・葛藤、といったものを目の当たりにする機会が多いです。
歯を削る手術を行うことで、飼い主が犬と前向きに接することが可能になり、お互いのQOLが向上した事例も見てきました。
そういった影響で、歯を削る手術に対しては肯定的な考えを持っています。
一方で否定的な考えや反対意見があるのも承知しています。
どちらが正しい・間違っている、ではなく
☆価値観
☆経験
といったものの違いで変わってくるものだと思います。
手術を行うかどうかは、各々の獣医師の価値観やポリシーに基づいて判断されるべきものです。
ただ、本気で噛みつく犬と生活するなかで、身体的にも精神的にも追い込まれた飼い主が、歯を削る手術を検討・相談することに対して、
「飼い主としての責任を放棄している」
「愛情不足」
「しつけの努力が足りない」
といった一方的な批判をすることは、慎んでもらいたいと思います。
ポジティブな効果としては
◎大きな怪我の予防
◎飼い主の恐怖や不安の軽減
◎犬と安心して向き合うことが出来る
◎前向きにしつけに取り組めるようになる
といったものがあります。
反対・否定する理由としては
◉しつけに真剣に取り組まなくなる
(飼い主としての責任の放棄)
◉問題の根本的な解決にはならない
◉動物(犬)の福祉に反する
◉愛情が不足している
といったものがあります。
私は本気で噛みつく犬と暮らす飼い主の恐怖・不安・葛藤、といったものを目の当たりにする機会が多いです。
歯を削る手術を行うことで、飼い主が犬と前向きに接することが可能になり、お互いのQOLが向上した事例も見てきました。
そういった影響で、歯を削る手術に対しては肯定的な考えを持っています。
一方で否定的な考えや反対意見があるのも承知しています。
どちらが正しい・間違っている、ではなく
☆価値観
☆経験
といったものの違いで変わってくるものだと思います。
手術を行うかどうかは、各々の獣医師の価値観やポリシーに基づいて判断されるべきものです。
ただ、本気で噛みつく犬と生活するなかで、身体的にも精神的にも追い込まれた飼い主が、歯を削る手術を検討・相談することに対して、
「飼い主としての責任を放棄している」
「愛情不足」
「しつけの努力が足りない」
といった一方的な批判をすることは、慎んでもらいたいと思います。
関連記事☞犬の噛みつきによる飼い主の心理的・精神的な負担とメンタルケアについて
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